前日に泊まっていた京都の宿を朝早く出て、直島へ向かいます。まずは京都駅から新幹線で岡山に向かいました。岡山からJRで宇野駅に向かい、宇野港からフェリーで直島へ。
直島の宮ノ浦(宮浦とも言われる)港に到着し、ここから100円の巡回バスが出ているのを見つけて、私たちはすぐにそれに乗ってしまいました。しかし、ベネッセハウスに宿をとった私たちはベネッセハウスの赤いバスに乗れば、無料で行けたのでした。しかも、巡回バスでは本来私たちが泊まるベネッセハウスのpark棟までは本来行かないのですが、わざわざそこまで回ってもらえました。
ベネッセハウス(park棟)
こちらがベネッセハウスpark棟の入り口。いかにも安藤忠雄な感じです。
泊まったのはデラックスダブルという部屋です。
各部屋のwebページには、以下のように書いてあります。
※ご滞在の際には、ぜひお気に入りの曲が入ったCDをお持ちください。ゲストルームにはBOSE社製のCDプレイヤーをご用意してございます。安藤建築の中で木の香りに包まれつつ、直島のアートと自然を感じながらお好きな音楽を聴く・・・ベネッセハウスにご宿泊いただく方だけの特別な時間と空間がここにはあります。
そんなわけでCDを数枚持っていって聴きました。
室内は木が使われ茶色系でまとめてあってナチュラルな感じ。安藤色は弱めです。
部屋にはテレビがありませんが、これは非日常を経験して欲しいというコンセプトとのこと。しかしうちは家にテレビがないので、テレビがない生活は日常なのでした…。なお、デスクのところでLANケーブルは挿せるようになっていたので、PCを持ち込めばネットはできそうです。やりませんでしたが。
この部屋は、天井が高いです。
窓からの眺めはこんな感じ。
家プロジェクトに向かう
日曜と月曜を直島で過ごすことに決めてベネッセハウスに宿を取ってしまい、後から気づいたのですが、直島は月曜日は基本的にお休みの日です。家プロジェクトも地中美術館も月曜日は休みなので、この日(日曜日)のうちに回ることにしました。
荷物を置いたら即ホテルを出て、まずは家プロジェクトに向かいます。いずれも建物内部の撮影は禁止されています。
見たのは以下の通り。予約が必要な「きんざ」は予約が取れず、見られませんでした。
- 角屋(宮島達男)
- 南寺(ジェームズ・タレル 建築設計:安藤忠雄)
- 護王神社(杉本博司)
- 石橋(千住博)※修復中のため母屋は見られず、蔵のみ
- 碁会所(須田悦弘)
- はいしゃ(大竹伸朗)
ジェームズ・タレルの南寺は、建物に入ると最初は全く何も見えない真の暗闇です。ここまでの暗闇は意外と日常生活で体験することがないことに気づきます。しかし、目が慣れてくると前方に光が見えてきます。目が慣れてこないと見えないようなほんのわずかな光が差しているのです。
地中美術館にもジェームズ・タレルの作品はありましたが、このように光を使って人間の視覚を操作するような作品でした。
下の写真の奥にある「ぐぅ」で遅いお昼を食べました。
暖簾のある民家エリア
家プロジェクトのあるあたりは、直島の古い民家が残っているエリアでもあります。このようなプロジェクトを成功させるには地元の人の協力を得る必要があると思いますが、あちこちの家にかわいい暖簾がかかっていたり、屋号(?)のプレートがついていたり、町を訪れる人に対してきれいに見せていこうとする姿勢が感じられました。また、それぞれのアート作品の入場管理も地元のおばあちゃんらしき人がやっていたり。住民参加の経緯については
Wikipediaの「ベネッセアートサイト直島」内「直島文化村建設の経緯」でも少し触れられています。
一部の家にはこんなプレートがついていました。屋号?
家プロジェクトのあるあたりはのどかな漁村という感じで、漁港があったり、猫があくびしていたり。
その他の作品
家プロジェクトのエリアから少し離れた山の上にある、護王神社のガラスの階段。
はいしゃ
家プロジェクトの作品は、外側は昔ながらの民家で、内側にアート作品があるというパターンが多いのですが、はいしゃはそれらとは異なり、かなりインパクトがあります。
この建物も元々民家だったようですが、1階から2階までぶちぬいて自由の女神が立っています。以下はそれを外から撮ったところ(内部は撮影禁止なので)。
地中美術館へ
家プロジェクトのアート作品を一通り見たあと、地中美術館に向かいました。地中美術館では美術館手前にあるチケットセンターのようなところでチケットを購入し、カメラなどの荷物を預け、諸注意をスタッフから聞く必要があります。というわけで外観写真も撮れませんでした。
中にあるアート作品は以下にあるようにたったこれだけしかありませんが、一つ一つのスケールが大きいもので、ゆっくり見られるようになっており、また安藤忠雄の建築も1つの作品と言えるでしょう。
- クロード・モネ
- “睡蓮” 1914-17年、油彩、200×200cm
- “睡蓮-柳の反映” 1916-19年、油彩、100×200cm
- “睡蓮の池” 1917-19年、油彩、100×200cm
- “睡蓮の池” c.1915-26年、油彩、2枚組、各200×300cm
- ウォルター・デ・マリア
- “タイム/タイムレス/ノー・タイム” 2004年、花崗岩、マホガニー材、金箔、コンクリート
- ジェームズ・タレル
- “アフラム、ペール・ブルー” 1968年、プロジェクター
- “オープン・フィールド” 2000年、蛍光灯、ネオン管
- “オープン・スカイ” 2004年、LED、キセノンランプ
オープン・フィールドは、これも南寺と同じくジェームズ・タレルによる視覚の錯覚ものでなかなか面白かったです。交代制で、10人程度ずつ並んで入ることになっています。ここで運良く、そのグループの先頭になれました。これ以上書くとネタばれになるのでやめておきますが、また、その日の並び順は自分ではどうしようもないですが、先頭がおすすめとだけ書いておきます。
ちなみに私たちは晴天の日に見たため「オープン・スカイ」が”’リアル空”’なのか、あるいは作り物なのか判断ができませんでした。リアル空なら雨の日はどうするのか、また空との境目付近の天井があんなに薄くて大丈夫なのか、と議論していました。
ところで、安藤忠雄の建築における好みは、だいたい以下のような感じだと思います。
- 言うまでもなく打ちっぱなしコンクリートでシャキーン、カキーンという感じ
- 地中に埋めるのが好き
- 階段が好き
- 意外と古い建物も好きで保存したいと思っている
- 屋上緑化とか緑を取り入れるのも好き
地中美術館はこの中で4.以外の要素を全て持っていると言えそう。
直島に来る前に読んでいた(現在出版されている書籍(雑誌の特集などを除く)で唯一の直島本?)『直島 瀬戸内アートの楽園』で、地中美術館はずっとコンクリートの人工的なものばかりを見せておいて、最後のカフェで自然の海を見せるというのをあらかじめ読んでいたのですが、やはり最後にカフェでジュースを飲みながら海をぼけっと見るのは緊張がほどけるようで良い感じでした。
ベネッセハウス ミュージアム棟
地中美術館を見て、ベネッセの巡回バスで帰ってきました。部屋のあるpark棟ではなくミュージアム棟で降りて、ここにあるアート作品を見学しました。このときちょうど17時を回ったところで、ギャラリーツアーが始まるところでした。
解説してくれた方は、ミュージアム棟のオープン時からここにいるようで、これを作った時にアーティストはこうしたとか、建物を設計した安藤忠雄はこう反応したとか、作品にこめられている意味(こういう解釈もできるのではないか、とか)などについていろいろ話してもらい、この話を聞かずに見るのと聞いて見るのとでは大違いで、ギャラリーツアーに参加してよかったなあと感じられるものでした。
最初は、すでにできあがった作品を外部から買い付けていましたが、アーティストが直島に滞在して、この地から得たものを作品化することが最近は多いそうです。
以下の写真は、海岸に黒と黄色のボートがありますが、これもアート作品。ミュージアム内に、これに対応した黒と黄色のボートからなる作品があり、これは外部から買ってきたものですが、直島に置くことになったときにアーティストが「実際の浜辺にもボートを置きたい」と言いこのようになったそうです。ちょうど窓があって、作品がある室内から、ボートのある浜辺が見えるようになっています。
このミュージアムは月曜定休ではないので、翌日もまた来ることにして簡単に作品を見てから部屋に戻りました。少し部屋でCDを聴いてからテラスレストラン(チェックイン時に時間だけでも予約が必要)で夕食。ちなみに、ベネッセハウスの食事は高いです。レストランは和食のミュージアムレストランと洋食のテラスレストランがあり、テラスレストランのほうが若干安いですがそれでも飲み物別で4000円台~です。ミュージアムレストランは食事のみでも7000円台からだったかと。私たちはテラスレストランで一番安いのから2番目のコースにしましたが、普段東京ではこんな高い食事はしません…。でも、おいしかったです。
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